今時の不動産投資家

不動産価格の下落傾向が、明らかとなり
不動産取引熱もさめてしまい、
証券化案件の組成も少なくなりそうです。

とはいっても、不動産投資会社や
AM会社、アレンジメント会社は、案件組成
をしなければ、業績もあがらず、
なんとかしなければなりません。

このような市場環境では、従来のような
1年から数年程度の短期間で、利益を
得るようなファンドでは、投資家は
みつかりにくいでしょう。

先日の日経新聞にも、掲載されていましたが
私どもの事務所の取引先である
ケネディクスさんは、保有不動産を
ドイツの長期投資家に対して、売却
されたようです。(2008年8月28日付 リリース情報より)
http://www.kenedix.com/

じっくり腰を据えて、投資できる投資家を
みなが探しているようです。

アーバンコーポレーションの破綻の分析

アーバンコーポレイションが、民事再生法を
申請しました。
同社の損益計算書や貸借対照表のみ見ている
投資家からすれば、なぜ破たんしたか
不思議に感じられると思います。

同社は、最近3年間増収増益で推移し
自己資本も、順調につみあがって
いました。
不動産開発業者の場合、更地などで
仕入れた不動産にマンションやビルを建設して
販売し、利益を得ています。
そのため、新規の開発物件を追い求めることが
宿命として求められます。
ましてや、上場会社であれば、より強く
求められます。

同社の営業キャッシュフローを見れば
その様子がよくわかります。

参考に連結決算数字を並べますと

順に、売上高、経常利益、営業CF(単位:億円)
H18/3 643 106 △329
H19/3 1805 563 △550
H20/3 2436 616 △1000

となります。
損益計算書上の利益は順調でしたが
営業CFは、3期連続赤字(実際は、H17/3期以前も赤字)で
財務担当者は、いつも資金繰りに苦労されて
いたことが、窺えます。

最近では、難しくなりましたが、不動産流動化において
不動産とその借入金をオフバランス処理して
企業が少しでも、財務体質をよく見せようと
努力されていた理由もうなづけます。

このように、不動産開発業者は
過少資本、過大借入金で
営業CFの不足を、財務CFつまり、おもに
借入金で賄っているケースが多く、
金融機関が、融資姿勢を変えて借入金で
資金調達ができなくなると
たちまち、経営が苦しくなるという
弱点を抱えています。

今のような投資環境での不動産証券化

最近、不動産関連の企業の破綻や
経営悪化の話をよくきくように
なりました。
このような経営環境では、今までのような
短期間で、売買益を得るような
流動化スキームを組成することは
困難となりました。

金融機関は、短期売買のスキームに
対して、融資はできないでしょうし
(もしくは、LTVをかなり低く設定されます。)
投資家も、このようなスキームには
資金を提供しにくい環境であると
思います。

最近お会いした、証券化プレイヤーの
方のお話では、このような環境では
長期投資をする投資家向けの案件
でなければ、組成は難しいであろうと
おっしゃってました。
つまり、長く腰を据えて
おくような案件でなければ、
組成できないであろうとのことです。

ただ、長期的な投資をする投資家の
方が、じっくり案件を見定めて
投資するであろうから、慎重に
投資判断をするでしょうから、なかなか
組成するにも、難しい面も抱えていると
思います。

不動産価格は、これからどれくらい下がって
いつごろ、反転するかは、誰にも
分かりません。

1年前とは、すっかり環境が
変わってしまい、案件組成までの
道のりが険しくなっていることは
間違いありません。

最近の不動産流動化ビジネス

最近、証券化関係者とお話する時
他社の動向は、どうですかという
質問を受けることが多くあります。
ここ半年で明らかに、潮目が変わったので、
他社の動向が気になっている方が多い
ようです。

最近の動向を言いますと、今の
経済情勢を反映した不動産流動化
案件が組成されています。

わかりやすくいいますと、
資金繰りに窮した不動産会社が
売りたたく物件を、購入して
それを時間をかけて、売却して
利益を上げようとする案件が
出てきています。

不動産鑑定の実務で、取引事例を
調べる際、売り急ぎにより
相場価格の30%オフで取引されている
事例などが、時々出てきます。
まさに、そのような売り急ぎ物件を
狙って安く購入し、売却益を
得ることを得ようとする案件です。

これからも、破綻するまたは資金繰りに
窮する不動産会社も出てくるようでしょうから
このような案件も増えるかもしれません。

不動産会社の破綻

今年に入って、不動産関係の会社の
破綻が相次いでいます。
レイコフ、近藤産業、スルガコーポレーションなどなど
最近あった方との話では、関西地区で
今年中に、いくつかの破綻があるでしょうとの
ことです。

倒産隔離措置をとった、スツラクチャーに
組み入れられた不動産は、オリジネーターや
AM会社に破綻があっても、法的処理は
免れると思いますが、そうではない不動産に
ついては、法的処理の対象となり、売りたたかれる
ことになろうかと思います。

また、破綻した会社の不動産を狙っている
不動産会社もあることと思います。

しばらくは、厳しい経営環境が
継続することが、予想されることから
資金力のある会社とない会社では
差が出るでしょうし、場合によっては
生死を分けることもあろうかと思います。

コミングリングリスクとSPC

金融用語として、コミングリングリスク
という言葉があります。
これは、混合リスクという意味ですが
わかりやすく言えば、金融機関が融資した
資金で得た収益が、金融機関への元利金
返済ではなく、他のことに使われてしまう
リスクのことです。

金融機関は、融資判断の際、融資資金で
使われる資産等から得られるキュッシュフローを
判断のポイントとしています。
しかし、そのキャッシュフローが元利金返済
以外の目的で使われてしまえば
本末転倒のこととなってしまいます。

不動産証券化でのノンリコースローンでは
不動産のみを担保としているため
このように混合してしまうとスキームの
根本からゆるがすこととなります。

わざわざコストをかけてSPCを利用する
目的のひとつとして、コミングリング
リスクの回避というものがあります。
つまり、SPCを利用することで、不動産から
得られる資金を、まず、債権者への
元利金返済を優先させて、なお、残余が
ある場合は、投資家等へ返済させることで
コミングリングリスクを回避することが
できます。

通常のコーポレートローンの場合
不動産を抵当権として取っても
コミングリングリスクを回避することは
困難です。

これも、SPCを利用されるメリットの
ひとつとして、あげられると思います。