信託決算書とインボイス制度

昨年10月より開始したインボイス制度が、導入から5ヶ月
程度経過しました。
インボイス制度の実務も、進んでいると思います。

SPC案件の場合、不動産を信託受益権化するケースが
多くあります。信託を通じたインボイス(適格請求書)の
提供方法は、信託銀行によって、違いがあります。

いわゆる大手の財閥系の信託銀行は、信託決算毎に
インボイス取引の明細や計算書を作成し、取引先や
登録番号等をまとめたものが、提出されます。

インボイス制度での立替金の精算書に近いイメージの
取引明細が提出されます。
信託銀行としては、従来作成が不要であった書類を
別途、作成することになり手間が増えると思います。

計算書にはすべての課税仕入取引が記載されるものでは
ありません。
例えば、テナントから回収した賃料から、仲介手数料に
相当する『広告費』を控除されている場合、広告費を
信託銀行が作成する『計算書』に掲載されていないケースが
あります。

このような取引は、別途、AM業者やPM業者を通じて
広告費の『適格請求書』を入手しなければなりません。

財閥系ではない信託銀行では、入手した適格請求書の
写しを、そのまま提出するところもあります。
こちらの方が、受託者側で別途、計算書を作成しない分
手間が省けますが、信託取引が多いと、提出する
適格請求書の通数も多くなります。

このように、インボイス制度開始により、請求書の
チェックなど、経理事務に手数が増えていることに
間違いはありません。

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信託会計での課税仕入取引のインボイス制度対応

2023年10月から開始するインボイス制度。
SPCが信託受益権者となり、信託会計内で
課税仕入が発生する取引は、SPCが課税仕入を
計上しております。

一方で、課税仕入取引の支払は、
信託受託者(信託銀行)が信託口座から送金し
請求者は、信託銀行宛の請求書を発行します。

この場合、受益者であるSPCは、
信託銀行宛の請求書で課税仕入を計上することに
なり、インボイス制度での適格請求書の
要件の一つである、課税仕入を計上する場合
自社(ここではSPC)宛の請求書の入手を
求めている点を満たさないことになります。

信託銀行では、信託口座内の課税仕入取引を
① 登録番号も記載ある『立替金精算書』を
 信託決算書とは別に作成し
 受益者(SPC)に交付する方法
② 信託銀行が入手した請求書の写しを信託決算書と
 一緒に交付する方法

の2つの対応方法があげられます。
① の場合、信託銀行が入手した請求書の
 登録番号や請求額等の記載する手間が発生します。
② の場合、入手した請求書を、そのまま受益者(SPC)に
 交付するので手間は少ないように思えます。

信託銀行によって、インボイス対応方法には
差がありますが、インボイス番号のチェックなど
会計事務所の手間は増えます。

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