建物による賃料の違い

不動産流動化での不動産評価は
収益価格が中心となることは
ご存知のとおりです。
その時のベースとなる賃料ですが
建物の種類によって、傾向がことなります。

住居系の不動産(通常、レジデンシャルといいます)の
賃料は、新築時が最高で、その後、
下落傾向に入ります。そして、一定のレンジまで
下落すれば、概ね横ばいで推移します。

そういった意味では、レジデンシャルの不動産の
賃料予想は、比較的容易なのでしょう。

一方で、オフィスビルの賃料は
世の中の景気動向によって、大きく左右されます。
同じビルでも、今と5年まででは
今の方が賃料水準が高くなっていることが
一般的です。
つまり、5年前より、今は、景気見通しが
良いということなのでしょう。

もう少し、深く考えれば、レジデンシャルの
需要者である個人は、人口が変動なければ
需要量は変わらないこととなります。
一方で、オフィスビルの需要は、景気動向が
良くなれば、需要も伸びるが、景気が悪くなれば
需要が減るということなのでしょう。

そういった意味では、レジデンシャルよりオフィスビルの
方が、将来賃料の予想は難しいでしょうから
収益価格の算定も難しく、前提条件によって
収益価格に、大きな開きがでることでしょう。

建物の評価

不動産である建物は、通常どのように
評価するのでしょうか?

不動産鑑定では、建物の構造やグレードから見て
評価時点で、新築の建物を建設することを
想定した価格(再調達価格といいます。)を
まず算出し、そこから
実際の建物の
 〃佛による減価
◆(理的な劣化状況からみた減価
 建物の機能が陳腐化することによる機能的減価
を控除して、評価額を決定します。

(計算式)
建物評価=再調達原価-減価額

この方法では、建物は新築が最高の価値で
それ以降は、新築価格より低くなります。

また、最近の建築コストの上昇により
実際の建築コストより高い評価額が
算出されることもあります。

私どもの事務所は、大阪の目抜き通りである
御堂筋に近いこともあり、ちょうど昭和40年代の
建築ラッシュに建てられたビルが、築年数が35年程度
経過することもあり、建替工事もところどころで
行われています。

先ほどの建物評価の計算式では、35年程度経過すれば
残存耐用年数がゼロに近くなり建物評価が
ゼロに近い数値になります。

ところで、建物の評価は、残存耐用年数が
ゼロになれば、本当にゼロなのかどうかは
実際に考えてみたところ、疑問を感じます。

イギリスでは、経年20年の建物より経年50年の
建物が評価が高いということです。
これは、50年経過しても、大丈夫な建物は
しかっりしたものであるため、高い評価に
なるとのことです。
古いものを大切にするという国民性も
あるのでしょうが、価値観によって
建物の評価方法は、異なるということです。

これから、リサイクル社会になるためにも
今の日本の建物評価の方法は
本当に正しいのか、一考する必要が
あるのかもしれません。

証券化での不動産鑑定の矛盾

不動産証券化において
必ず、不動産鑑定を取ります。
これは、証券化において担保となる
不動産について、専門家の評価額を
必要とするからです。
当然といえば、当然です。

その時に、評価額がいくらになるかは
レンダーや投資家、アレンジャーにとって
関心のあるところです。

ところで、不動産鑑定において
鑑定評価額の決定には、公示価格に
規準する(鑑定実務では、『のりじゅん』といいます。)
ことが、鑑定評価の法律で、定められています。
そのため、近隣の公示価格と大きく乖離する
鑑定評価額を出せないという縛りがあります。

この公示価格というものは、そのエリアを担当する
鑑定士が計算しているのであるが
公示価格が、その土地の実勢価格を表示して
いない場合があります。
特に、都会で地価高騰が進んでいるところでは
公示価格と実際の取引価格とでは
大きな乖離が発生していることがあります。

そのため、実勢価格に対して鑑定評価額が
低く算出されるケースがあります。
これが、証券化において、ネックとなることが
あります。
それでは、なぜ、公示価格が実勢価格と
乖離するかというと、公示価格は
1年に1度しか、公表されないため
そのタイムラグと
公示価格を決定する際に、前年からの変動率を
重視し、大きな変動率は敬遠される傾向が
あるため、土地価格が高騰する際には
実態に即した変動率つまり上昇を
公示額に反映できないケースがあるためです。

実務的には、鑑定額と実勢額とでは
乖離があることもよくあります。
鑑定の依頼者からすれば、報酬を
払って、評価額を算出しても
実態に即した金額がでないという
矛盾が発生することがあるということです。

投資不動産の開示

企業会計基準委員会(ASBJ)の
投資不動産専門委員会
http://www.asb.or.jp/html/technical_committees/investment_property.php
は、今年前半に投資不動産の情報開示に関する
公開草案を公表することを決定しました。

不動産投資会社は、投資不動産を複数保有している
でしょうから、情報開示となった場合
事務的な手間が増えることは間違いないでしょう。

これも、不動産の金融商品化の流れかもしれません。
おそらく、開示する情報は毎年不動産鑑定評価書を
入手してあれば、こと足りると思いますが
今まで開示していなかったことを開示することと
なり、投資会社のスタンスが、あまり知らせたくないことも
開示しなければならないことも考えられます。

投資不動産委員会の動向に注目したいと思います。

価格トレンド

不動産に限らず、市場価格を
持つものは、上昇トレンド、下降トレンドを
繰り返しながら推移していくことは
経験則からも、周知のことである。

不動産価格は、最近数年間は
上昇トレンドによりファンドビジネスも
活況であった。ただ、下降トレンドに
なることも十分予想される。

その場合、どのように対応すべきであろうか?
買うことを控えることになるであろう。
既に、不動産ファンド会社の中に
不動産投資を控えようとしているところが
あるみたいである。
しかし、今までファンドを組成し投資することで
収益を得ていたのに、それを手控えれば
収益源を失うこととなる。これも死活問題に
なりかねない。

そのため、不動産ファンド会社も
フィービジネスに注力し始めているようである。
投資顧問業や、AM業務がそれにあたるのであろう。

今まで不動産ファンド会社が数多く設立され
株式公開を果たしたが、もしかすれば
今年くらいから、M&Aなどにより
統合が進むかもしれない。

不動産鑑定士協会研修に参加しました

先週のことであるが、12月13日に
大阪府不動産鑑定士協会の
不動産鑑定士向け研修のパネルディスカッションに
パネラーとして、参加してきました。

テーマは『不動産証券化』で、私は
不動産証券化をサポートする会計士として
お話をしました。

パネルディスカッションに参加して
不動産鑑定士業界は
今までの公的な仕事(地価公示、固定資産税評価等)
に依存している体質から脱却したいと
考えられているのだなと感じました。

東京では、最近の不動産証券化市場の
広がりにより、証券化による鑑定を
する鑑定事務所は、かなり潤ったようです。

大阪では、証券化のマーケットは小さいの
ですが、やはり証券化の鑑定をする事務所と
そうでない事務所とでは、大きな差が出ている
ようです。

ただ、ひとついえることは、証券化による
鑑定でも依頼者は、不動産ファンド会社や
金融機関であっても、法的に鑑定を
取ることが求められているため、
鑑定を取っているケースが多いと思います。

鑑定業界の広がりを探るのであれば、
法的に必要なところというより
法的には必要ではないが、不動産鑑定士としての
知識等を求めて、業務を受けられるように
していかなければならないと思う。

私も、いつかは不動産鑑定士になれる(?)と
思っているが、そのような目線を大事に
していきたいと思っている。

不動産鑑定業界

不動産鑑定士協会から、来月、会員(近畿圏の鑑定士さん)
向けのセミナーでのパネルディスカッション依頼されました。
テーマは、『証券化対象不動産をはじめとする
(鑑定業界の)業務領域の拡がりと展望』となっています。

公認会計士でありながら、将来、鑑定士になる身分という
微妙な立場であるが、テーマに沿った話をできればと思っている。

当初、研修担当の鑑定士さんから依頼を受けた際、
最近の鑑定士協会では、業務領域の拡大に力を注いでいるようです。
鑑定士の仕事は、もともと公的な評価(地価公示、都道府県地価調査など)
のウエイトが高かったが、それだけでは業務領域には
限界があるので、拡大していきたいと考えられているようです。

証券化の拡がりによって、潤っている鑑定業者は、大手で
個人の鑑定業者は、直接業務を受けられることは少ないのでは
ないかと思います。

最近では、不動産鑑定評価基準も改正になり、証券化対象の
不動産鑑定の検証項目が増えて、作業も増えていると
思います。

証券化業務は、今後も継続するかと思うので
鑑定士の職責というものは、重くなることは、
間違いないと思います。

CRE戦略

CRE戦略という言葉を、最近新聞でも
よく見かけることとなった。
『企業の不動産戦略』という意味である。

意味合いとしては、企業が保有する不動産を
どのように活用していくか、
売却・買替・賃貸・賃借等の様々な手段の
うち、最適な方法を選択していくことと
私は理解しています。

通常、不動産というものを購入・又は賃借する
際は、慎重に検討すると思うが
一旦、いずれかの意思決定をすると所与の
ものとして、放置しているケースが多いと
思います。

ところが、不動産をとりまく環境というものは
最近数年間でも大きく変化しています。
企業も当然のことながら、この変化に
対応していくべきなのでしょう。

不動産会社の中には、CREを提案する部門を
立ち上げて、積極的に提案をされている
ところもあるようです。

私どもの事務所では、不動産・企業経営の
いずれも、縁のある分野ですので
今後も、CREという目線も持って
案件等に対応していきたいと
考えています。

不動産の金融商品化

最近の不動産価格の高騰の要因として
不動産の金融商品化といわれることが多い。
これは、J-REITや不動産ファンド等によって
金融市場からの資金が、不動産市場に
流入したため、不動産市場が活況になった
ことを指しているのだろう。

不動産を金融商品と見ることによって
従来は、不動産価格を近隣の相場価格で
決定していたところが、不動産の収益と
利回りで価格が決定することとなった。
(価格=収益÷利回り)
この変化を先取りした不動産業者で
利益を得た不動産業者も沢山いるであろう。

今のように低金利の金融市場のもとでは
例えば、5%の利回りを生む不動産は
金融商品として見れば、大変魅力ある商品と見える。

このような価値観の変化は、逆戻りすることは
ないと思う。とすれば、もし今後金利が上昇すれば
価格は下がるということになるが(↓価格=収益÷利回り↑)
実際のところは、どのようになるであろうか。

ただ、最近のインフレ傾向により、収益も↑なら
利回りの↑が、直ちに価格の↓にはならないが。

回帰分析

先月、不動産鑑定士協会の
実務修習を受けた。その際、統計的手法の
講義があり、回帰分析についての解説が
あった。

回帰分析とは、例えば、身長と体重との標準的な
関係を、一次関数(例 y(体重)=aX(身長)+b)で
表せるように、ある数字と相関関係にある数字との
関係を式を利用して表現するものである。

不動産評価で、具体的に利用するには、
ある場所で、賃貸用マンション建設を計画する際、
賃料設定を検討するが、回帰分析によって
賃料を予想するというものである。

昨年受けた同様の修習では、住居系の賃料は
対象地の最寄駅からの距離と、最寄り駅の都心からの
時間という二つの変数で、ほとんど決定するという
講師からの話があった。

これは、不動産鑑定の実務では、賃料だけでなく
土地価格の決定の際にも利用できる。
具体的には、対象地の土地価格を検討する際、
土地価格に影響する要因
(駅距離、容積率、面積、前面道路幅員、方位等)と
土地価格との関係について、回帰分析をすれば
対象地の要因を入れれば、対象地の価格が
判明するということとなる。

この手法は、不動産投資にも利用できるかもしれません。
回帰分析をして、ある不動産の理論価格というか
あるべき価格を算出し、もしそれより低い価格で
売り出されておれば、購入すればよいということとなります。
ただし、ここでの投資の話は、理論上のことであり
実際の不動産取引においては、このようなことが
当てはまらないことも、よくあるかと思いますが。。。