SPC保有不動産と近隣問題

SPCの保有する不動産が、商業系不動産の
場合、何らかの音を発することで、近隣
住人からクレームを受けることがあります。

クレームがある近隣住人は、対象となる
不動産の登記簿謄本を入手します。
不動産の名義人であるSPCをたどっていけば
私どもの会計事務所に辿り着きます。

そして、何らかのクレーム文書が
会計事務所に届くことがあります。

会計事務所としては、クレーム文書が届いても
具体的な対応は出来ないので、その時は
AM会社が近隣住人との協議をすることに
なります。

私どもの担当案件の中には、調停になり
双方 弁護士を立てて協議しているものもあります。

SPCは形式的な不動産オーナーですが
調停や場合によっては、訴訟等になれば
被告という当事者として、矢面に出ることになります。

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レジ物件SPCの『課税売上高』『敷金から控除 原状回復工事代』の扱い

レジ(住居用賃貸不動産)を投資対象とする
SPCでは、主な賃料収入である住居賃料は
非課税売上です。

レジ物件を取得した時点での建物消費税は、原則
取得時点では還付対象にはなりません。
そのため、レジ物件SPCでは、案件組成時から
終了時点まで、免税事業者として進めることが
一般的です。

免税業者になるには、年間の課税売上高が1000万円
(税込ベース)を切ることが必要です。

レジ物件でも 一定の課税売上高はあります。
例えば、駐車場代、駐輪場代、バイク置き場代
退去時の 鍵交換手数料、原状回復工事代
契約更新時の 契約更新手数料 などです。

原状回復工事は、契約書上 退去者が行うと記載してあることが
一般的ですが、実際のところ、建物管理会社が工事を
行い、最終、敷金等から控除して精算するケースが
多くあります。この場合、管理会社が原状回復工事という
サービスを退去者に提供したということで、課税売上高
なります。

原状回復工事代収入と、原状回復工事代金支払いを
相殺して、課税売上高ゼロという計算は出来ません

建物賃貸借に係る保証金から差し引く原状回復工事費用|国税庁 (nta.go.jp)

退去者の人数は正確に予想出来ないので、退去者が多い年
原状回復工事代収入や 鍵交換手数料等が通年より多くなり
年間課税売上高が、1000万円を超えることもあるので
レジ物件SPCでは、課税売上高の推移を確認することが
SPC経理上 大変重要になってきます。

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SPCの決算公告 電子公告の方法

SPCは会社であり、決算公告をします。
ただ、SPCが合同会社か特定目的会社かで
法的扱いは異なります。

合同会社の場合、決算公告の法的義務は
ありませんが、特定目的会社の場合
決算公告が法的義務となっております。

決算公告の方法は、官報で公告することが
一般的ですが、特定目的会社の決算公告では
1回 10万円以上の費用を要します。

毎年10万円以上の公告費用負担は、大きなもので
今では、電子公告という方法で
決算公告が出来ます。

手順としては、決算公告をするURLを
特定目的会社の登記簿に登記をします。
指定のURLに特定目的会社のBS PLを
掲載することで、電子による決算公告は
完了です。

官報公告の場合は、BS PLの要約版を
計算することが可能ですが、電子公告の場合
1円単位で全科目残高を掲載しなければなりません。
また、注記も掲載しなければならず、
記載内容は、官報公告より多くなります。

ただ、電子公告は、決算公告のみ利用可能で
例えば、組織再編や優先出資の減少などの
場合は、上記の方法では、公告は出来ません。

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地権者を集約する民事信託スキーム

不動産投資でのSPCは合同会社や特定目的会社が
一般的ですが、多数の土地保有者をまとめるため
設立されるSPCがあります。

阪神地区での不動産開発事業で、個人の地権者が
多数いるプロジェクトで、その土地を賃貸して
1つの事業者が、事業展開を計画しています。

多数の個人地権者と土地賃貸契約を締結する場合
例えば、相続が発生すると地主が変わり
変更の覚書を交わすなど、事務作業も増えます。

また、相続人が反社会勢力者の場合、賃貸契約が
終了し、事業者の事業が停止するリスクがあります。

このような契約の不安定さを改善するため
全地権者を信託委託者とし、信託受託用の法人を
設立し、民事信託を締結するスキームがあります。

一般に信託は信託業法の適用を受け、信託の
免許を持つ事業者しか信託受託出来ませんが
民事信託の場合、信託業法の適用はなく
信託の免許なしで受託することが出来ます。

この場合、地権者は信託受益権者になり、事業者と
賃貸契約を直接締結することはありません。

事業者は、受託法人と賃貸契約を締結します。
事業者が、受託法人に支払った賃料は、信託決算を通じて
信託配当として、受益者に支払われます。

このように民事信託を利用すれば、
①法的・契約的に、地権者を集約する。
②経済的には、地権者は受益者として賃料収入を得る。
ことになります。

法的・税務的に注意すべき点がありますが
民事信託は、複数地権者を集約する機能としては
利用するメリットはあると思います。

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メイン口座からリリース口座への振替可能額 

SPC案件では、メイン口座、リリース口座、営業者口座など
複数の銀行口座を開設することは一般的です。

ただ、ローン契約等でメイン口座内で、元利金返済額の積立や
オペレーションコストの積立などを管理することを
定めていることがあります。

会計処理上は、同一口座内の積立は表現されないので
別途、管理する資料を作成しなければなりません。

その名称は、案件によって様々ですが、『勘定残高管理表』などの
名称の資料を作成します。

この資料の作成目的は、メイン口座からリリース口座への
資金振替をする際、いくらまで振替出来るか把握することに
あります。

メイン口座の残高があれば、残高相当額をリリース口座に
振替は可能ですが、メイン口座残高のうち
積立すべき残高がいくらであり、リリース口座への振替額を
日々把握するには『勘定残高管理表』を作成しなければ
なりません。

このようにSPC会計業務では、会計処理だけでなく
預金口座の管理もローン契約書等に定められており
別途、管理資料を作成しなければならないことが
あります。

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宮崎県にある太陽光発電所

担当のSPCに、宮崎県の太陽光発電所がございます。

8月上旬には、宮崎県で大きな地震があり
その後、「南海トラフ地震臨時情報」が出るなど
大きな被害が心配されました。

地震後、すぐに現地管理会社が発電所の点検を
行ったところ、発電設備自体には全く被害がなく
一安心しましたが、発電所の敷地内にある備品の
保管倉庫の窓が割れる被害がありました。

地震の大きな揺れにより、中に置いている備品が
大きく動き、窓を突き破ってしまったようで
倉庫の窓の補修が必要となりました。

さらに、8月末には台風10号が宮崎県に接近し
宮崎県に限らず、日本中いたるところで、風雨
による大きな被害が発生しました。

台風直後も、すぐに現地管理会社が発電所の点検を
行いましたが、幸い台風によるこちらの発電設備へ
の被害もありませんでした。

今回は、幸いにも地震、台風ともに大きな被害は
ありませんでしたが、別の発電所では、落雷の
被害がありましたし、今後も日本各地で、様々な
災害が起こることは避けられません。

しかし、近年、太陽光発電所では、なかなか保険を
引き受けてもらえないのも現状です。

保険契約が出来たとしても、補償の範囲は限られて
おり、特に地震は、特約もつけられず、被害が出た
場合も、保険適用が出来ない事も多いです。

発電所の運営に限らず、私達の日常生活においても
大きな災害が起こらないことを願うばかりです。

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DSCR計算時のオペレーティング費用の扱い

プロジェクトファイナンスの際、資金繰の健全性チェックのため
四半期毎にDSCR計算をすることが一般的です。

DSCRは、一定期間の『営業CF』が、対象期間の元利金支払い
どの程度余裕あるかを示す指標です。

毎月の手取り給与が30万円で、食費等の必要な生活費を10万円とすれば
残り20万円で住宅ローンを支払います。毎月のローン支払いが
10万円の場合、DSCRは20万円÷10万円(ローン支払)=2が
DSCRになります。

DSCRは、数値が高いほど良く、例えば、DSCR基準値を、1.2以上
など一定値以上に設定しています。

この計算方法で、問題となるのが、『営業CF』計算時の
オペレーションコストの算出です。この算出は
契約書記載の計算方法の解釈で、差が出ることがあります。

オペレーションコストに消費税を含むか否かは
契約書のDSCR計算定義に記載していることが一般的で
税抜で計算すると記載するケースが多いと思います。

投資対象がオフィスビル等でSPCが課税事業者で支払った
消費税が満額還付されるようなケースでは、オペレーションコストは
消費税申告時に精算され、税抜で問題ありませんが、
投資対象がレジ物件で消費税が還付されないケースでは
オペレーションコストは、税込で計算することが正しいと
思いますが、計算方法の定義で、そこまで意識していない
案件も散見されます。

この他、オペレーションコストの範囲に振込手数料は含むか
また、年次計画記載のオペレーションコストより算出するなど
案件によって、その定義が異なります。

この点は、アセットマネジメント会社と十分打合せをしながら
計算書を作成しております。

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1つのSPCで複数資産を投資対象とする場合

 1つのSPCで複数の不動産や発電所を投資対象とする案件もあります。
その場合、SPC会計ではどのような対応が必要でしょうか?
私どもの事務所では、投資対象毎に部門を設定し、
物件毎の収益性などが一目で分かるような経理処理体制を採用しています。
物件毎に財産を分別管理するためにも会計上の部門設定は有効と思います。

 部門設定した際、問題となることは、
ある部門の預金口座で他部門に属するような部門を跨ぐ取引をした場合、
どのように経理処理をすれば良いでしょうか。
部門別の貸借対照表を作成し、貸借を一致させるには、
部門を跨ぐ取引があった場合の対象方法としては

  • どちらかの部門に属する取引とみなして経理処理する。
  • ダミーとなる部門を設定して、貸借を一致させる。

のいずれかの方法を採用することになります。

 例えば、消費税還付額がある場合も部門を跨ぐ取引になります。
消費税の課税取引は、各部門で発生し、消費税還付額も各部門で計上されます。
一方で、還付口座は1つの口座しか指定することは出来ず、
還付取引はいずれかの部門に属することになります。
そのため還付金を各部門に振り分けるなどして、
部門別の消費税還付額(未収消費税)を精算する作業が必要となります。

このようにSPCに部門設定をした時は、物件別の採算性は見やすくなりますが、
細部の実務では、悩ましい問題が発生します。

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営業者口座ないSPCの営業者報酬の計上

SPC案件では、メイン口座(事業用口座)、リリース口座、営業者口座
など、役割に応じて、銀行口座を開設するケースが一般的です。

メイン口座は、賃貸収入(信託配当等)の受取り、借入金の
元利金支払いなど、SPC事業の中心となる資金の授受を
行います。

リリース口座は、AM報酬や、投資家への配当金支払など
最も劣後する支払いをメイン口座から資金振替を受けた後に
行います。

営業者口座は、①資本金の受入 ②メイン口座から営業者報酬(匿名組合契約に
記載されています。)の受取 ③法人税の支払
を行います。

このように、銀行口座を分けているSPCでは、資金の移動内容が
預金口座を見れば分かるので明確です。

なかには、上記のように複数の口座を持たずに1つの銀行口座で
進んでいるSPCもあります。

そのような場合 営業者報酬の精算による銀行口座間での
資金移動は行いません。匿名組合決算のために、営業者報酬の計上は
必要です。そのため、匿名組合部門営業者部門を設定し
営業者報酬相当営業者部門が匿名組合部門に未収計上し、匿名組合
部門
未払計上する 経理処理で対応します。

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営業者口座のないSPC

匿名組合契約では、匿名組合が営業者に年間20万円程度の営業者報酬を支払う
ことが一般的です。この営業者報酬は、SPCを維持するため事業を行っている
匿名組合が、営業者(SPC)に対して報酬を支払うというものです。
ただ、この営業者報酬は、SPCの内部取引のため、SPC全体の決算では内部取引
として消去され表示されることはありません。匿名組合決算の損益計算書で
『営業者報酬』として表示されます。
 
SPC案件では、営業者用の預金口座として、『営業者口座』が準備されることが
一般的です。営業者報酬は、匿名組合決算に合わせて匿名組合口座から営業者
口座に送金されます。営業者は、受取った営業者報酬で法人税等の納税資金に
充当します。
 
案件によっては、営業者口座がなく、匿名組合事業を行う事業口座のみという
案件もあります。そのような場合、営業者報酬をどのように扱うかが問題と
なります。
 
匿名組合契約書には、営業者報酬の記載はあるので、匿名組合経理では営業者
報酬を計上します。しかし、営業者口座はないので、営業者報酬の精算処理はなく
経理が進みます。その結果、営業者から匿名組合に対する営業者報酬を受取る
債権が計上され、匿名組合では反対の債務が計上されます。営業者口座がないので
これらの債権債務は計上されたままで、匿名組合経理上残ることになります。

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