契約書への調印

SPC会計業務の中で、大切な項目に
案件組成時 契約書等への調印業務が
あります。

この契約書ですが、押印の際、気を付ける
ポイントがあるので、ご紹介します。

1つ目が、信託受益権への質権設定契約書です。
GKーTKスキームでは、不動産を信託受益権化し
受益権に質権設定をします。
この契約書は、通常 
① 質権設定契約の承諾書を兼ねている
② 公証人役場での認証ページがある
ことが特徴です。
③ 受益権者であるSPC(通常は合同会社)は
債務者として、質権設定権者(受益権者)として
承諾するため 押印箇所が2か所になります。

2つ目が、社員持分への質権設定契約書です。
GKの社員持分は、倒産隔離のため一般社団法人が
保有しています。
そのため上記の受益権質権設定と同様の
押印箇所があります。
社員持分の保有者が、一般社団法人のため
③ 社員持分保有者の一般社団法人と
債務者のSPC(合同会社)の押印が必要です。

その他、案件組成時には押印書類や作成する書類も
多く、正確な押印と書類を揃えることが
求められます。

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地方公共団体の不動産証券化

不動産証券化ビジネスは、多様な資金調達方法として
拡大を続けておりますが、最近では、市町村
保有土地を有効活用するため、証券化スキーム
利用するケースも出ております。

大阪府内では、豊中市が、保有する土地を
証券化スキームを利用するが進行中です。

これは、豊中市保有地に 中学生向けの
給食施設を建設するというものです。

給食施設の特徴として
①安定的に設備の利用がある
②一方で、土・日・祝、夏休み 冬休み 春休みなど
利用しない日も多い

そのため給食施設を、学校給食だけでなく
例えば、病院や宿泊施設への食事の提供も
可能としております。

こちらの投資スキームでは、豊中市が
長期的に給食施設の利用契約(事業用定期借地
契約のようなもの)を締結し、一部 匿名組合
出資をして、給食事業者が生み出す利益の
一部を配当
として受け取ることを想定しています。

事業参加する民間事業者の営利意欲を持たせる
とともに、豊中市も 獲得する利益の一部を
受取る
スキームです。

地方公共団体では、このようなスキームは
少ないと思いますが、今後、地方財政も
厳しくなることが予想されることから
有効な資産活用から、証券化スキーム
利用拡大も予想されます。

市有地の不動産証券化を活用した中学校給食提供事業者誘致事業の公募型プロポーザルの実施について 豊中市 (city.toyonaka.osaka.jp)

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レジ案件 PMレポートの見方

レジ案件では入居者数が多く、支払う賃料も
住宅賃料、共益費、敷金(以上、消費税 非課税)
駐車場、駐輪場、バイク置き場、ガキ交換手数料
原状回復工事(以上、消費税 課税)

多種多様で、消費税区分など 注意が必要です。

また、オフィス等ではあまりませんが
賃料を延滞する入居者や 請求していない駐輪場代を
半年分前払するなど
賃料の支払うタイミングがバラバラのため
管理が煩雑になることがあります。

通常、PMレポートでは
①延滞賃料は、延滞賃料リスト
②未請求の入金(過入金)リスト
③敷金のリスト
なども作成され、延滞賃料、過入金、預り敷金を
管理することが一般的です。

また、退去時には、敷金の精算、賃料の精算
原状回復費用の精算など、イレギュラーな
取引が発生します。
賃料も日割計算をするなど、やや複雑な
取引となります。

通常、退去精算書を作成し、これらの取引金額を
明確にするエビデンスを作成します。

以上のように、レジ案件では、PMレポートを
正しく読み、正しく経理処理をするため
オフィス案件よりは手間を要します。

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レジ物件SPCの『課税売上高』『敷金から控除 原状回復工事代』の扱い

レジ(住居用賃貸不動産)を投資対象とする
SPCでは、主な賃料収入である住居賃料は
非課税売上です。

レジ物件を取得した時点での建物消費税は、原則
取得時点では還付対象にはなりません。
そのため、レジ物件SPCでは、案件組成時から
終了時点まで、免税事業者として進めることが
一般的です。

免税業者になるには、年間の課税売上高が1000万円
(税込ベース)を切ることが必要です。

レジ物件でも 一定の課税売上高はあります。
例えば、駐車場代、駐輪場代、バイク置き場代
退去時の 鍵交換手数料、原状回復工事代
契約更新時の 契約更新手数料 などです。

原状回復工事は、契約書上 退去者が行うと記載してあることが
一般的ですが、実際のところ、建物管理会社が工事を
行い、最終、敷金等から控除して精算するケースが
多くあります。この場合、管理会社が原状回復工事という
サービスを退去者に提供したということで、課税売上高
なります。

原状回復工事代収入と、原状回復工事代金支払いを
相殺して、課税売上高ゼロという計算は出来ません

建物賃貸借に係る保証金から差し引く原状回復工事費用|国税庁 (nta.go.jp)

退去者の人数は正確に予想出来ないので、退去者が多い年
原状回復工事代収入や 鍵交換手数料等が通年より多くなり
年間課税売上高が、1000万円を超えることもあるので
レジ物件SPCでは、課税売上高の推移を確認することが
SPC経理上 大変重要になってきます。

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メイン口座からリリース口座への振替可能額 

SPC案件では、メイン口座、リリース口座、営業者口座など
複数の銀行口座を開設することは一般的です。

ただ、ローン契約等でメイン口座内で、元利金返済額の積立や
オペレーションコストの積立などを管理することを
定めていることがあります。

会計処理上は、同一口座内の積立は表現されないので
別途、管理する資料を作成しなければなりません。

その名称は、案件によって様々ですが、『勘定残高管理表』などの
名称の資料を作成します。

この資料の作成目的は、メイン口座からリリース口座への
資金振替をする際、いくらまで振替出来るか把握することに
あります。

メイン口座の残高があれば、残高相当額をリリース口座に
振替は可能ですが、メイン口座残高のうち
積立すべき残高がいくらであり、リリース口座への振替額を
日々把握するには『勘定残高管理表』を作成しなければ
なりません。

このようにSPC会計業務では、会計処理だけでなく
預金口座の管理もローン契約書等に定められており
別途、管理資料を作成しなければならないことが
あります。

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リファイナンスと長期前払費用の償却

不動産証券化の際、ノンリコースローンのローン手数料や、弁護士費用等の一定のまとまった費用が発生します。これらの費用を、支出時に全額費用処理する場合と、長期前払費用として計上しローン期間等で償却するケースがあります。

ローン関係費用は、ローンが実行されればそれでSPCは経済的メリットを受けたとして、そのタイミングで全額費用処理することがあります。一方で、ローンが完済されるまで、返済の猶予を受けているため長期前払費用として計上し、ローン期間で償却することもあります。ここでは、長期前払費用として償却するケースについて、解説したいと思います。

長期前払費用の場合、償却期間をどのように取れば良いかが論点になります。通常ノンリコースローンでは、通常の約定返済期間と、2年程度の延長可能なオプションが付いてあることがあります。例えば、通常のローン期間が5年で、2年延長のオプションがあるケースはどうなるでしょうか?ほとんどのケースでは通常のローン期間5年で償却しています。ただ、SPCの利益計上を早めるため、2年間の延長オプションを考慮して7年間で償却するケースもあります。

税務上は、ローン手数料や弁護士費用は、支出時に全額費用処理することを制限する規定はないので、長期前払費用として費用計上を繰延処理しても問題にはなりません。会計上は、このような長期前払費用は資産性がないものとして、計上が認められないことも想定されますが、ローン実行中はこれらの費用支出の恩恵を受けていることから、容認されることが一般的です。

では、通常の返済期間5年のローンが3年目にリファイナンスをした場合は、どのようになるでしょうか?このようなケースでは、当初受けたローンは一括返済することになります。そのため、未償却の長期前払費用残高は、一括償却をして残高ゼロになります。

リファイナンスのためにローン手数料や弁護士費用を支払っているでしょうから、再度ローン期間に応じて長期前払費用を計上することになります。

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棚卸資産か固定資産か

 不動産の流動化案件では、
 不動産を流動資産である棚卸資産とするのか、
 固定資産にするのかが論点になります。

 棚卸資産になるか固定資産になるかのポイントは、
 SPCが保有する不動産の出口戦略の考え方に影響を受けます。
 つまり、保有期間が数年程度の場合は、棚卸資産になりますが、
 5年程度の長期保有の場合は長期投資のため、固定資産に該当します。

 棚卸資産の場合、減価償却費を計上しませんが、
 固定資産の場合、減価償却費を計上します。
 証券化不動産は、将来売却することが見込まれています。
 この不動産の減価償却費を計上するか否かで受ける影響についてですが、
 減価償却費を計上しない棚卸資産は、
 将来売却時の簿価は当初から変動しないままで、
 減価償却費を計上する有形固定資産の簿価は
 償却額相当減額された低い簿価となり、
 売却益は固定資産計上の方が多くなります。
 しかし、保有期間全体を通じての減価償却費を加味した売買損益は同額になり、
 損益計上のタイミングがズレることになります。

 評価損の計上では、棚卸資産の方が計上の可能性が高くなります。
 仮に低価法を採用するSPCでは毎年取得する不動産鑑定評価額が簿価を下回れば、
 評価損を計上することになります。
 固定資産に計上している場合は、不動産鑑定評価額が簿価を下回っても、
 直ちに減損損失を計上することにはならず、
 減損の兆候など、一定の要件を満たした場合、損失計上となります。
 一般的には不動産鑑定評価額が簿価の50%以下になるなどの兆候がある
 などの要件を満たした場合に減損損失を計上します。

 

       棚卸資産固定資産
計上区分通常の保有期間経過後に売却が決まっている長期保有
減価償却費の計上なしあり
評価損計上の対象低価法評価損 強制評価損減損会計の適用

減価償却での耐用年数の考え方

建物の減価償却費を計上する場合、税法の定めもあり償却方法は定額法しか採用
できません。償却額は耐用年数を何年とするかで償却方法が異なります。法人税
法では、建物の用途や構造等によって耐用年数を定めており、建物のそれぞれを
調べて、対応する耐用年数を採用することが一般的です。
 
不動産証券化案件では、不動産鑑定評価書を取っています。そこには建物の残存
耐用年数が記載されています。こちらの耐用年数を採用することも可能ですが、
法人税法で定める耐用年数より短い場合は、法人税法での耐用年数での計算結果
との差額を、法人税申告書で調整(申告加算)しなければなりません。
 
このような手間は回避することが通常で、不動産鑑定評価書の耐用年数を採用す
るケースは、法人税法の耐用年数より長くなるケースに限られます。
 
一方で償却額を多くするためには、どのような方法があるでしょうか?通常、建
物は躯体部分と電気設備、給排水設備、空調設備、エレベーターなど付属設備と
一体となっております。通常建物の耐用年数と言われるものは、躯体部分の耐用
年数を指しています。建物に含まれる電気設備等の設備は、法人税法では躯体よ
りも短い15年程度の耐用年数を採用することになっています。
 
そのため減価償却費を多く計上するには、建物の構成要素を分解して、躯体部分
と設備部分のそれぞれの金額を算出します。その際には、中古建物の場合は前所
有者の固定資産台帳を、新築建物の場合は工事請負契約書などを利用して、それ
ぞれの金額を算出します。
 
このように少し手間を要しますが、建物を構成要素に分解して、それぞれに合っ
た耐用年数を採用することで、建物を全て躯体として減価償却費を計上するより
多くの減価償却費を計上することが出来ます。

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適格機関投資家等特例業務(QII特例)届出

不動産を信託受益権化したGK-TKスキームでは、
TKの募集に先立って、財務局に 適格機関投資家等特例業務の
届出をします。

特例業務の新規届出:財務省関東財務局 (mof.go.jp)

一般的には、この届出を会計事務所が担当するケースが
多く、弊事務所でも、この業務を担当しております。

届出先は、SPCの本店所在地を管轄する財務局となり
東京本店のSPCは、関東財務局、大阪本店のSPCは近畿財務局
となります。

この届出終了までのプロセスが、関東財務局と近畿財務局では
異なります。具体的には、関東財務局の場合、事前に書面等のチェックは
なく、SPCが取得した『GBIZ』のIDで電子申請することで
完了します。

ログイン (gbiz-id.go.jp)

一方、近畿財務局では担当者に、申請書類を添付書類である誓約書や
経歴等を添えて、メールで送信し、その後、ヒアリングシートという
質問項目をまとめたリストが送られ、それに回答をした上で
近畿財務局内でのチェック作業を経てからの申請となります。

そのため、近畿財務局への申請では、手続き開始から、申請
が完了するまで、2週間程度要します。

関東財務局では、QIIの申請も多く、個別のヒアリングシートを
作成し、回答を求めるようなことは求めていないようですが
近畿財務局では、案件が少ないためか、上記のような
手続きを経ています。

大阪市内本店のSPCでは、東京本店SPCと比べて、日数に
余裕をもって準備することが求められます。

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インボイス制度と不動産信託(賃料収入)

いよいよ 10月よりインボイス制度が開始します。
形の上では、消費税納付の適正化ということですが
従来 免税事業者であった者は、実質的に増税になる
ケースが多く反対する人も多いのが現状です。

実務的には、仕入控除をするには、インボイス登録を
受けた事業者から交付された『適格請求書』の入手が
必須となり、そのチェックも含めて、経理作業が増えることは
間違いありません。

SPC会計でも、一般的な事業会社と同じ対応が迫られます。
不動産信託を利用した、SPCの賃料収入と インボイス制度について
ご紹介します。

SPCが不動産信託を通じて、商業テナントから賃料収入を得る場合
テナントは賃料と合わせて、消費税を支払います。
仮に賃料が100万円で消費税10万円と合わせて、110万円を

不動産信託の場合、テナントは不動産の登記名義人である
信託銀行と締結することが一般的です。
信託銀行は、消費税を含めた賃料を受取り、信託決算での
信託配当を受益者(通常は、SPC)に支払い、賃料収入は
SPCに帰属します。(消費税法 14条

テナントから見て、賃貸人は信託銀行ですが、払った消費税は
受益者であるSPCに帰属するという形式になります。

信託銀行は形式的に賃貸人ですが、実質的にはSPCが賃貸人
ということで、インボイス制度開始後は、信託銀行はテナントに
実質的に消費税を受取るSPCの登録番号を、どのように
伝えるかという問題があります。

インボイス制度開始後は、信託銀行では、請求書に
受益者(SPC)の名称、住所、登録番号を併記した
『ハイブリッド型』の請求書をテナントに交付すると
しています。

テナントから見れば、入居している不動産の受益者が
請求書を見れば、分かるということになります。

インボイス制度の導入は、不動産信託実務にも大きな
影響を与えます。

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