営業者口座ないSPCの営業者報酬の計上

SPC案件では、メイン口座(事業用口座)、リリース口座、営業者口座
など、役割に応じて、銀行口座を開設するケースが一般的です。

メイン口座は、賃貸収入(信託配当等)の受取り、借入金の
元利金支払いなど、SPC事業の中心となる資金の授受を
行います。

リリース口座は、AM報酬や、投資家への配当金支払など
最も劣後する支払いをメイン口座から資金振替を受けた後に
行います。

営業者口座は、①資本金の受入 ②メイン口座から営業者報酬(匿名組合契約に
記載されています。)の受取 ③法人税の支払
を行います。

このように、銀行口座を分けているSPCでは、資金の移動内容が
預金口座を見れば分かるので明確です。

なかには、上記のように複数の口座を持たずに1つの銀行口座で
進んでいるSPCもあります。

そのような場合 営業者報酬の精算による銀行口座間での
資金移動は行いません。匿名組合決算のために、営業者報酬の計上は
必要です。そのため、匿名組合部門営業者部門を設定し
営業者報酬相当営業者部門が匿名組合部門に未収計上し、匿名組合
部門
未払計上する 経理処理で対応します。

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営業者口座のないSPC

匿名組合契約では、匿名組合が営業者に年間20万円程度の営業者報酬を支払う
ことが一般的です。この営業者報酬は、SPCを維持するため事業を行っている
匿名組合が、営業者(SPC)に対して報酬を支払うというものです。
ただ、この営業者報酬は、SPCの内部取引のため、SPC全体の決算では内部取引
として消去され表示されることはありません。匿名組合決算の損益計算書で
『営業者報酬』として表示されます。
 
SPC案件では、営業者用の預金口座として、『営業者口座』が準備されることが
一般的です。営業者報酬は、匿名組合決算に合わせて匿名組合口座から営業者
口座に送金されます。営業者は、受取った営業者報酬で法人税等の納税資金に
充当します。
 
案件によっては、営業者口座がなく、匿名組合事業を行う事業口座のみという
案件もあります。そのような場合、営業者報酬をどのように扱うかが問題と
なります。
 
匿名組合契約書には、営業者報酬の記載はあるので、匿名組合経理では営業者
報酬を計上します。しかし、営業者口座はないので、営業者報酬の精算処理はなく
経理が進みます。その結果、営業者から匿名組合に対する営業者報酬を受取る
債権が計上され、匿名組合では反対の債務が計上されます。営業者口座がないので
これらの債権債務は計上されたままで、匿名組合経理上残ることになります。

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インボイス制度と不動産信託(賃料収入)

いよいよ 10月よりインボイス制度が開始します。
形の上では、消費税納付の適正化ということですが
従来 免税事業者であった者は、実質的に増税になる
ケースが多く反対する人も多いのが現状です。

実務的には、仕入控除をするには、インボイス登録を
受けた事業者から交付された『適格請求書』の入手が
必須となり、そのチェックも含めて、経理作業が増えることは
間違いありません。

SPC会計でも、一般的な事業会社と同じ対応が迫られます。
不動産信託を利用した、SPCの賃料収入と インボイス制度について
ご紹介します。

SPCが不動産信託を通じて、商業テナントから賃料収入を得る場合
テナントは賃料と合わせて、消費税を支払います。
仮に賃料が100万円で消費税10万円と合わせて、110万円を

不動産信託の場合、テナントは不動産の登記名義人である
信託銀行と締結することが一般的です。
信託銀行は、消費税を含めた賃料を受取り、信託決算での
信託配当を受益者(通常は、SPC)に支払い、賃料収入は
SPCに帰属します。(消費税法 14条

テナントから見て、賃貸人は信託銀行ですが、払った消費税は
受益者であるSPCに帰属するという形式になります。

信託銀行は形式的に賃貸人ですが、実質的にはSPCが賃貸人
ということで、インボイス制度開始後は、信託銀行はテナントに
実質的に消費税を受取るSPCの登録番号を、どのように
伝えるかという問題があります。

インボイス制度開始後は、信託銀行では、請求書に
受益者(SPC)の名称、住所、登録番号を併記した
『ハイブリッド型』の請求書をテナントに交付すると
しています。

テナントから見れば、入居している不動産の受益者が
請求書を見れば、分かるということになります。

インボイス制度の導入は、不動産信託実務にも大きな
影響を与えます。

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匿名組合決算の損益分配(端数の扱い)

匿名組合案件で、複数の出資者がいるケースについて
少し難解なことがあります。

複数の出資者間で優先、劣後関係がなく、フラットな場合で
各出資者への損益分配を出資割合でする時、端数を切捨とすれば
各出資者への損益分配額の合計と、SPC全体で計算される
損益分配額とでは、円単位では差が出ます。

数値例を示しますと、SPC全体の分配対象の損益が
1,000,000円として、各出資者への損益分配計算で、端数切捨が
あれば、各出資者への損益分配合計が、999,995円などのように
円単位で、差が出ます。

このようなケースでの匿名組合決算では、どのように表現するのでしょうか?

損益分配前利益 1,000,000円
損益分配額    999,995円
損益分配後利益     5円

となります。分配されない利益5円の扱いは、匿名組合契約で
何らかの記載があると思いますが、複数の匿名組合出資者が
いる場合は、上記のような、テクニカルな問題が
発生します。

匿名組合での利益はパススルーとして
全額出資者に分配されるはずですが
実務上は、分配されない利益が、僅かですが
発生します。

法人税法 基本通達14-1-3

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発電事業者の新収益認識基準の摘用

2021年4月以降の事業年度より大企業においては、
新収益認識基準が強制適用となりました。

各企業は実現主義の原則に従い、それぞれのタイミングで
売上計上を行ってきましたが、日本の会計基準を国際的な
会計基準にあわせるため、新収益認識基準として売上計上の
タイミングをルールとして定めました。

弊社の顧客である12月決算の再生可能エネルギーSPCにおいても、
2022年12月末決算でこの新収益認識基準が適用される事と
なりましたが、これは電気事業及びガス事業における従来の
検針日基準を見直すというものです。

従来の検針日基準では、検針日が月末以外の場合、
決算月の検針日以降から決算日までの売上が翌期に
計上されていましたが、新収益認識基準では、
検針日基準は認められず、検針日から決算日までの
売電収入を見積計上するというものです。

この見積額の算出方法ですが、簡易法として日割り計算が
認められており、単価が変動する場合は決算月の前年同月の
平均単価を基礎とする事ができます。

この基準に沿って、適用初年度の2022年12月の決算では、
見積もった売電収入額を計上し、遡及適用額については、
適用初年度の期首の利益余剰金の加減で会計処理を行いました。

「収益認識に関する会計基準」への対応について|国税庁 (nta.go.jp)

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レジ案件での控除対象外消費税

居住用賃貸マンション(レジ物件)への投資案件で
建物に係る消費税は、取得時には控除出来ないことは
ご存知の通りです。

税抜経理の場合、控除出来ない消費税は、一定の
期間で償却されます。この場合の償却方法は
60ヶ月(5年間)で償却する方法が、一般的です。

一方で、レジ物件の取得に係る控除対象外消費税を
60ヶ月で償却すると、各年度の償却額が、多額に
なることがあります。

その結果、投資利回りが低下し、投資としての魅力が
劣ることになります。

控除対象外消費税は、60ヶ月で償却の他、対象不動産の
取得価額に含めて、建物等の耐用年数に応じて
償却する方法も可能です。

今の消費税制度では、レジ物件の取得時に支払う
消費税は、控除(還付)対象にはならないので
取得費用の一部という理解で、特段問題ないと
思います。

この点は、オフィスビル等への投資と異なり
消費税の経理処理には、大きな差があります。

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国の節電プログラムと省エネ対策

先日、顧問先である再生可能エネルギーSPCあてに、
契約先の電力会社より省エネに関するダイレクトメールが
届きました。

今後の厳しい電力需給に対応する「国の節電プログラム」で、
資源エネルギー庁から小売電気事業者として採択された
との案内でした。

顧問先であるSPCは、電力を供給する立場ですので、
消費電力も少なく、このプログラムの対象ではありませんが、
多くの電力を消費する工場や事務所がこの節電プログラムに
参加する事によって、特典が付与されるというものです。

最近、ニュースでもよく耳にしますが、
一般の家庭では、2,000円相当のポイントが付与され、
電力の利用料金支払いにも利用できるという事です。
また、工場や事業所など高圧/特別高圧を利用している
事業所では、20万円相当の特典が国から付与されます。

このプログラムは、高圧、特別高圧の電気利用者は、
節電の成果如何にかかわらず、採択事業者のHPから
参加申し込みをするだけで20万円相当の特典付与が
されますので、該当する電気利用者は、まずは参加の
登録をして下さい。

電気利用効率化促進対策事業費に関する補助金|経済産業省 資源エネルギー庁 (setsuden.go.jp)

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一括償却資産の除却

担当しておりますSPCで
『一括償却資産』の除却がありました。

『一括償却資産』とは通常の減価償却ではなく
取得価額を三年間で均等償却できる
一定の資産のことです。

取得価額10万円以上20万円未満の資産で
すでに使用を開始しているものに限り計上します。

通常の固定資産であれば
減価償却として費用計上出来るのは
各資産の耐用年数に応じた償却額ですが
『一括固定資産』は決算月に購入したものであっても
三年間で均等した金額を費用計上できます。

この『一括償却資産』を除却した場合は
どういった経理処理になるでしょうか。

通常の固定資産ですと
資産の残存価値と除却額から
除却損益を計上します。

しかし『一括償却資産』の場合は
除却損益を計上しません。

また、除却後も三年間で均等した減価償却費を計上します。
取得時に全額損金処理できる『少額償却資産』は
償却資産税の対象ですが
『一括償却資産』は償却資産税の対象外です。

このように『一括償却資産』は
通常の固定資産の経理処理とは異なり
除却という考え方はありません。

取得価額が30万円未満の減価償却資産は取得時に
全額損金処理できる『少額減価償却資産』は
早期に費用処理できる一方
償却資産税が発生します。

『一括償却資産』は三年間で償却する一方で
償却資産税は発生しません。

それぞれの特性を考慮しながら
償却方法を選択することが大切です。

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匿名組合出資者間の異動時の事務対応

担当しておりますSPCでは
四半期毎に匿名組合出資者へ
損益分配をする契約となっております。

各出資者に優劣がない場合
損益分配額は『匿名組合出資金額割合』に
応じて分配されます。

出資者に匿名組合出資金額の異動が
あると損益分配額にも影響があります。

『匿名組合出資金額割合』が変更になるためです。

以前該当期に匿名組合出資金額の
異動があった旨のご連絡をタイムリーに頂けず
四半期決算締め後に
各出資者への損益分配額を
訂正したことがございました。

遠隔地にあるSPCであったうえ
出資者間の異動は会計処理に表れず
把握出来ないことがあります。

その後は匿名組合出資金の異動を確認するために
四半期毎に事業所ご担当者様に
匿名組合出資者名簿の
ご提出をお願いしております。

会計事務所とSPC
そしてその管理担当者との
コミュニケーションは
適切な会計事務を進めるには
大切なことと思います。

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GK-TKでの営業者報酬とは

GK-TKスキームでは、匿名組合(TK)契約で
営業者報酬という項目が出てきます。
この営業者報酬とは、匿名組合の経理で
匿名組合が、営業者(=GKの内部 部門)に
支払う一定の金額です。

GK全体の決算書では、営業者報酬は
TK部門と営業者部門の合算で、相殺され
表示されることはありませんが、TK決算書では
営業者報酬というものが、費用項目として
出てきます。

この営業者報酬とは、何の報酬かと言えば
匿名組合を維持するため、税務申告等をする
営業者に対して、支払う報酬です。

一般的には、年間15万円程度にしているケースが
大半です。

営業者報酬の水準が高いと、TK部門の利益が圧縮され
TK出資者へ付け替えられる利益相当額(=パススルー額)が
小さくなり、GK全体に残る利益は大きくなります。

そのため、営業者報酬を、必要以上に高くすると
GK(=SPC)の利益増えるため、法人税負担が増加します。

営業者報酬は、いくらくらいが適当かと言えば
年間15~20万円程度が適当と思います。

今まで、弊事務所が経験した案件では、『営業者報酬は
法人税相当額』というものがありました。
営業者報酬が決まれば、分配利益、引いては税前利益が
確定します。『営業者法主が法人税相当額』では
法人税額も決めることが出来ず、永遠に決算作業が
終わらないようにも思えます。

このようなケースでは、営業者報酬と法人税額が
ほぼ、一致するような水準に決めて、TK決算を
組むようにしました。

通常、営業者用の銀行口座を開設し、営業者口座は
匿名組合部門から営業者報酬を受取、資金年の入金を受け
法人税を営業者口座から、納付します。

一方で、GK内に、営業者口座を設けていない案件も
あります。このような案件では、営業者と匿名組合との
区分が曖昧なものが多い印象です。

営業者報酬は、GK-TKスキームでの独特の
取引で、GK全体の決算書では、出てこない項目で
GK-TKスキームでの独特の、取引かと思います。

ただ、営業者報酬は、営業者という考え方が
GK-TKスキームを理解する上では、大切な
ものの1つです。

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