コロナ感染症に伴う賃料猶予の消費税経過措置について

担当させていただいておりますSPCで
ホテル賃貸業をされているところがございます。

こちらのSPCでは、テナントと
2019年3月から20年の賃貸借契約を
締結しております。

契約時の消費税率は8%で、
2019年10月以降の増税後も消費税の
経過措置の適用となる契約でした。

先日、テナントからの依頼により、
コロナ感染症による宿泊客の激減のため
賃料の一部を半年間猶予する覚書を締結しました。

通常、賃料を変更する場合、
消費税の経過措置は適用されませんが、
賃料の変更が「正当な理由による」場合は、
経過措置が適用されます。

今回のコロナ感染症による減額は、
「正当な理由による」と認められるので、
消費税の経過措置が適用されます。

こちらのSPCでは、賃料の減額ではなく
一定期間の猶予ですが、猶予の場合も同様に
消費税の経過措置が適用されます。

但し、消費税の経過措置が適用されるためには、
賃料の変更や猶予の覚書を作成する際に、
コロナ感染症による減額や猶予だと言うことを
明記しておく必要があります。

バイオマス発電SPCでの木材チップ在庫

担当している案件の一つに
バイオマス発電SPC案件があります。

このSPCは資本金が5億円以上あり、
会計監査を受けることが、会社法により求められています。

そのため、精緻な会計処理が求められます。
例えば、経過勘定は、全ての費用や収益について、
適用しなければなりませんし、
有形固定資産が減損していないかなど、
税務会計では省略出来ることも、検討しなければなりません。

他に、決算ごとに事業報告書を作成して、
会計監査人のチェックを受けなければなりません。

バイオマス発電案件の特徴のひとつとして
期末に、木材チップの在庫が残るということがあります。

この木材チップにも工程による段階があり、
チップの材料となる木材から、
製造工程中の仕掛品、
ボイラーに投入前の木材チップ製品があり
それぞれの棚卸額を算定しなければなりません。

バイオマス発電の木材置き場の広さは
広大で、これらの棚卸作業も労力を要します。

太陽光発電所では、在庫はありませんが、
木材チップを利用するバイオマス発電SPCでは、
独特の決算作業が必要となります。

匿名組合契約での営業者報酬

匿名組合契約書では『営業者報酬』というものが
記載されております。

この営業者報酬とは、どのようなものでしょうか?

契約書では、匿名組合から営業者に支払われる報酬と
記載されています。

この営業者報酬は、SPCから外部に支払われる報酬では
ありません。

あくまで、SPC内部での報酬です。
営業支店から本店に支払われる会社維持のための
本社費用のようなものです。

匿名組合決算ではこの営業者報酬を
支払った後の利益を匿名組合員に分配されます。

匿名組合部門では、損益がゼロになります。

一方で、営業者部門では匿名組合から
受け取った営業者報酬分がプラスになります。

仮に、営業者部分での損益が営業者報酬しかなければ
会社(SPC)全体では、営業者報酬相当が、
プラス(匿名組合の損益がゼロのため)になります。

SPCは営業者報酬相当の課税所得が
発生し、法人税負担が発生します。

通常、匿名組合出資を受けたSPCは、
僅かな(概ね営業者報酬相当)の
課税所得から法人税が発生し納税をします。
営業者報酬というものは概念的なもので、
具体的に第三者に支払われる報酬とは、
性質が異なるところが、特徴かと思います。

第2種金融商品取引業者のモニタリングと会計監査

最近受注した案件で
匿名組合出資の募集を
行う案件がありました。

SPCが匿名組合出資を
募集する時、第2種金融商品
取引業者に、募集行為を
委託することが、金融商品
取引法より求められています。

更に、第2種金融商品取引業者の
自主ルールで、募集後の
SPCでの運用状況を、モニタリング
するという業務もあります。

ただし、このモニタリング業務は
SPCが会計監査を受けている場合
代替することが出来ます。

第2種金融商品取引業者に
支払うモニタリング報酬と
会計監査報酬とを比べて
もし、会計監査の報酬が
合理的であれば、会計監査を
代替することも検討すべきでしょう。

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税理士法人 淀屋橋総合会計
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法人事業税(収入割)の税率改正

売電事業を行う事業者の事業税(収入割)が、
2020年(令和2年)4月以降に
開始する事業年度から、改正されております。

2020年4月以降に開始する事業年度から、
収入割(売電収入の1.05%)(特別法人事業税込)と
所得割(所得の1.85%)に改正されました。

売電事業者でも、所得割が発生している点と
合わせて、収入割の税率が低下しています。

資本金が1億円以上の場合は、更に複雑になり
所得割はありませんが、付加価値割や資本金割が
発生します。

売電事業をする事業者は、事業計画を
作成されていると思いますが
税率変更を織り込む必要があります。

僅か変更かもしれませんが
税率変更は、売電事業者の
収益性には、影響する
ことに間違いありません。

売電事業の場合、将来10年や20年などの
損益予想をされている事業者も多いと思います。

今後、事業税の税率も変動する
可能性も否定できません。

税率改正は、事業計画に
織り込むべきでしょうし
将来どの程度、税率が変更するかは
分かりません。

損益計画や資金収支計画は
将来の税率変動リスクを
見込んで、少し余裕を持って
作成することが、事前の策に
なると思います。

工事負担金の経理処理

地熱発電所や太陽光発電所などの売電事業を開始するには、
自社で発電した電力を送電するために、
電力会社が維持管理している既存の電線網と自社の発電設備をつないで、
通電してもらう必要があります。
この工事は、中部電力や九州電力などの電力会社が行いますが、
工事代金は、売電事業者であるSPCが支払います。

工事代金は、売電事業者が負担するのですが、
設備を所有者は、電力会社なので、
この工事代金は、「工事負担金」という科目で、
固定資産ではなく、繰延資産に計上し、
15年(または電力会社との契約における受給期間)で均等償却します。
(ただし、工事負担金が20万円未満の場合は、
 少額の繰延資産として、一時償却できます。)

支払時点では、一旦「建設仮勘定」とし、
売電開始時点で、事業に供したこととなりますので、
勘定科目を「工事負担金」に振替え、償却を開始します。
仮払い消費税も売電開始時に計上し、仕入れ控除の対象となります。

地代支払SPCでの出納事務

弊事務所では、太陽光発電案件の計画で、
一部の「地代お支払い」を担当するSPCの
事務を担っています。

こちらのSPCでは、約30件余りの個人の
土地所有者へ地代のお支払いを行って
います。

中には、案件実行中に土地所有者が
お亡くなりになられるケースもあり、
通常、その場合は、銀行の口座が閉鎖
されるのですが、先日は、その連絡を
受ける事無く、地代のお支払いを実行した
ため、銀行より送金不能との連絡がござい
ました。

この場合は、一度組み戻し処理となり、
送金した金額は返金されますが、
改めて相続人の銀行口座を確認の上、
送金し直すことになります。

相続人が複数にわたる場合は、銀行の口座
確認に時間を要します。

太陽光発電では、地権者が多岐にわたる事も
あり、地代支払のお手続きにも煩雑になります。

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消費税の還付を受ける口座について

担当しておりますSPCの決算に際し、
設備投資に伴い消費税還付がありました。

そちらの会社では、口座が複数あり、
還付金入金口座をどちらにされるか
お聞きしましたところ、
当初、営業者口座にされるとの回答でした。

しかし、後日、メイン口座へ受取口座変更の
お申し出がありました。

融資契約をご確認されたところ、
消費税の還付については、
メイン口座にするよう
定められていたためでした。

税務申告の際、還付金の受取口座は
SPCが指定しなければなりません。

今回のように、契約で定めがある場合等、
契約に従い受取口座を指定します。

また、申告毎に受取口座の変更は可能です。

休業中のSPCの法人税申告について

現在、休業中のSPCが
3月末に決算をむかえました。

こちらのSPCは、昨年7月に設立したものの
プロジェクトの開始の遅れにより、
設立後すぐに休業の届出をいたしました。

通常、大阪に本店がある場合、
休業中の法人については、
国税(法人税・地方法人税)の申告は必要ですが、
法人府民税と法人市民税の申告は不要で、
それぞれの均等割も発生しません。

但し、こちらのSPCでは、
設立時に諸経費が発生しており、
繰越欠損金が発生しました。

通常、営業中の法人であれば、
繰越欠損金が発生した場合、
国税だけでなく、都道府県民税の申告の際にも
繰越欠損金の別表を提出しなければなりません。

今回のように、休業中で
繰越欠損金が発生した場合は、どうでしょうか。

府税事務所に確認しましたところ、
繰越欠損金が発生する場合は、
休業中であっても法人府民税の申告が必要で、
六号様式の申告書と繰越欠損金の別表の他に
決算報告書も提出するようにとのことでした。

SPCに限らず、休業中の法人で
費用が発生することは、あまりないかもしれませんが、
繰越欠損金が発生する場合は、
法人府民税の申告にご注意ください。

汽力発電所の浚渫工事の償却期間

現在、地熱発電事所を建設中の顧問先様が、
昨年、井戸の浚渫工事をされました。

浚渫というのは、
一般的には、港湾・河川・運河などの底面を浚って
土砂などを取り去る土木工事のことを言いますが、
今回の工事は、先に掘削した井戸の中をきれいにして、
発電に必要な蒸気が通るようにするものでした。

井戸の掘削工事からはかなり時間がたってからの工事で、
発注先も掘削工事を依頼した業者とは
全く別の業者でした。
この浚渫工事だけを単体で見た場合、
何らかの物理的な資産が出来上がるわけではありませんし、
掘削工事とは別の工事なので、
工事代金の約1000万円を一度に費用処理できないか、
または、一度に費用処理できないにしても、
10年で償却できる港湾浚渫負担金などのように
短期間で償却できる方法はないか
税務署に問合わせをしてみました。

結論から申しますと、答えは、ノーでした。

当該浚渫工事は、
井戸を使った発電に不可欠の工事であり、
すでに資産計上している井戸掘削工事と
切り離すことはできない。
よって、当工事代金は、
汽力発電用の構築物として資産計上し、
41年で償却するのが妥当であるというのが
税務署の回答でした。