休業中のSPCの解散申告と清算申告

SPC設立後、プロジェクトの開始が遅れたため
長らく休業中の法人がございました。

こちらの法人は、3月決算でしたが、
昨年11月に解散しました。

法人の解散・清算結了については、
それぞれ確定申告書の提出が必要となります。

解散申告は、事業年度開始日から解散日、
清算申告は、解散日翌日から清算結了日まで
となります。

休業中の法人については、
国税は、申告書の提出が必要ですが、
大阪府の場合は、府・市内に事業所がないとみなされ、
通常、法人府民税と法人市民税の申告書の提出は不要で、
均等割の支払いもありません。

今回、休業中の法人の解散・清算結了にあたり、
府税事務所と市税事務所に
申告書の提出について確認したところ
均等割の支払いはありませんが、
いずれも解散・清算結了の異動届を提出した後に
申告書を提出してくださいとの回答でした。

また、清算申告の申告期限は、
清算結了日の翌日から1月以内に
申告が必要ですので、こちらも注意が必要です。

SPCの本店移転

担当させていただいております
SPCの本店が12月15日に大阪市から
豊中市に移転しました。

こちらのSPCの決算期は3月ですので、
事業年度途中での移転となります。

本店が移転した場合は、
国、都道府県、市区町村それぞれに
異動届を提出しなければなりません。

確定申告については、
今回の場合は、大阪府内での移転ですので、
国と府に関しては、移転後の管轄の税務署と
府税事務所に申告します。

但し、法人市民税については、
大阪市と移転先の豊中市の両方に
申告する必要があります。

法人市民税の均等割は、
1ヶ月未満は切り捨てとなりますので、
今回の場合は、
大阪市 4月1日~12月14日(8ヶ月と14日)→8ヶ月
豊中市 12月15日~3月31日(3ヶ月と17日)→3ヶ月
となります。

しかし、法人税割は、均等割とは違い
どちらも1ヶ月未満切り上げとなり、
今回の場合は、大阪市は9ヶ月、豊中市は4ヶ月と
なりますので、注意が必要です。

また、法人市民税申告の際は、第20号様式の他に、
第22号様式の2(課税標準の分割に関する明細書(その1))
の提出が必要となります。

決算申告に添付する資料

決算・申告を行う際には、
いろいろな決算資料の提出が
必要です。

担当しておりますSPCは
決算で減価償却の計上がありました。
その場合、固定資産台帳の提出が必要となります。

ただし、法人税申告書別表16等で、
明細レベルの固定資産毎の償却額を
記載している場合は提出不要です。

また少額減価償却資産の損金算入の特例を受ける場合には
取得金額に関する明細書を添付しなければなりません。

消費税申告にも還付がある場合、
還付金額が100万円を超える時は、
還付の原因となった契約書
(工事請負契約書等)の写しを、
添付資料として税務署に提出が必要です。

提出した書類や申告書は
法律で保存期間がそれぞれ定められておりますので
申告後も保管が必要です。

役員報酬の期中での減額について

税務上、役員報酬は、通常、会計年度の途中で
自由に変えると損金処理出来ません。

また、役員報酬を期中で減額した場合、
減額分については、合理的な理由がなければ
損金算入が出来ませんので、決算申告書作成の際には、
別表四で加算調整しなければなりません。

例えば、会計期間が4月から翌3月で
9月から役員報酬を10万円減額した場合、
4月~8月の5ヶ月分×10万円=50万円を
別表四で加算調整する必要があります。

上述の合理的な理由があるケースは
以下のとおりです。

経営状況が著しく悪化し、
株主との関係上、役員としての経営上の
責任によって減額せざる得ない場合、
また、銀行等の取引先から、
役員報酬を減額するよう要請があり
減額せざるを得ない場合等です。

業績が悪化しただけで
役員報酬を減額した場合は、
減額分については、損金算入出来ませんので
ご注意ください。

休業中のSPCの法人税申告について

現在、休業中のSPCが
3月末に決算をむかえました。

こちらのSPCは、昨年7月に設立したものの
プロジェクトの開始の遅れにより、
設立後すぐに休業の届出をいたしました。

通常、大阪に本店がある場合、
休業中の法人については、
国税(法人税・地方法人税)の申告は必要ですが、
法人府民税と法人市民税の申告は不要で、
それぞれの均等割も発生しません。

但し、こちらのSPCでは、
設立時に諸経費が発生しており、
繰越欠損金が発生しました。

通常、営業中の法人であれば、
繰越欠損金が発生した場合、
国税だけでなく、都道府県民税の申告の際にも
繰越欠損金の別表を提出しなければなりません。

今回のように、休業中で
繰越欠損金が発生した場合は、どうでしょうか。

府税事務所に確認しましたところ、
繰越欠損金が発生する場合は、
休業中であっても法人府民税の申告が必要で、
六号様式の申告書と繰越欠損金の別表の他に
決算報告書も提出するようにとのことでした。

SPCに限らず、休業中の法人で
費用が発生することは、あまりないかもしれませんが、
繰越欠損金が発生する場合は、
法人府民税の申告にご注意ください。

法人府民税の減免申請について

国立大学法人の元で、産学一体での研究開発や
人材育成を行っている法人がおられます。
こちらの法人は、昨年、法人府民税の免税申請を
行いました。

収益事業を行っていない非営利型の一般社団法人、
一般財団法人で、主として公益目的事業を行っている
場合は、法人府民税が減免されるというものです。

大阪府は、昨年の4月に手続きをするものから
上記に該当する場合に限り減免の対象とする
こととし、条例を改正しました。
但し、非営利型であっても共益的活動を目的とする
法人は減免対象とはなりません。

減免の申請には、以下の書類の提出が必要です。
 ① 法人府民税の減免申請書
 ② 直近の事業年度の決算書及び事業報告書
 ③ 定款
  ④ 主として公益目的事業を行っていることを
    証する書類
<例>
・社会人教育プログラムの受講募集要項
・直近の定時総会時の事業報告資料

減免の適用を受けた翌年度以降は、均等割申告書
や減免申請書の提出は不要ですが、年度の途中で
収益事業を開始した場合は、収益事業を開始した日
から2ヶ月以内に「収益事業開始申告書」を提出し
なければなりません。

<参考資料>
http://www.pref.osaka.lg.jp/zei/alacarte/kouekihoujin.html

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税理士法人 淀屋橋総合会計
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会社から受け取る利息等

当会計事務所のお客様は、8割がたSPC関連なのですが、
不動産業を営まれている会社様など
一般の株式会社を経営されている方もいらっしゃり、
この時期は、顧問先の会社経営者の方などの
確定申告業務をお引き受けしております。

そんな中で、
所得税があまりかからないように
会社の資産を個人に移せないかというご相談を受けました。
中小企業の法人実効税率は、約30%ですが、
個人の所得税率は所得が900万円を超えると
住民税を合わせて43%になりますので、
役員報酬という形で所得を移すと所得税が高くなります。
(所得税の税率)

そこで、配当金という形で利益分配をすれば、
分離課税の税率20.42%でよいのではないかというご質問を受けましたが、
非上場会社の配当金は、分離課税ではなく、総合課税になりますので、
所得税率が高ければ、配当金にかかる税率も同率の高い税率になります。
(1年間株を保有して配当金が10万円以下の場合は、
申告不要とすることもできます)(国税庁HP)

また、会社にお金を貸し付けて、
その利息としてお金を受け取るのはどうなのかという質問を受けましたが、
その場合の利息は、利子所得や配当所得ではなく、雑所得となり、
やはり分離課税とできません。
給与所得以外の収入が20万円以下の場合は、通常、確定申告は不要ですが、
同族会社への貸付金利子の場合は、
20万円以下でも確定申告しなければなりません。(国税庁のHP)

さらに、会社から貸付金利子を受け取る場合は、
利息の額を適正な額にしておくことも必要となります。
金融機関から借入れする場合の利息とかけ離れた高い利息を取ると
支払利息ではなく、役員賞与であるとみなされて
支払った額が損金と認められない場合があります。

個人事業の間は、儲けたお金は自由に使うことができますが、
たとえそれが小規模な会社であっても会社を立ち上げた以上
「会社と社長は別人格」ということを意識しなければならないように
税法はできています。

休眠会社の申告書・決算書の提出について

新年、あけましておめでとうございます。
本年も事務所メンバー全員の力を合わせ、
皆さまと一緒に発展していきたいと思い
ますので、どうぞよろしくお願いいたします。

さて、昨年の6月のことですが、顧問先の
特別目的会社様が、所轄の市役所及び
県税事務所、税務署に休眠届の提出をいたしました。

こちらの会社は11月が決算期でしたので、
12月に入り、申告書の提出が必要か否かの
確認を県税事務所、並びに市役所の税務課に
確認をいたしました。

県税事務所は、申告書、決算書ともに提出が必要
であるとの回答でしたが、市役所の税務課では
いずれの提出も必要は無いとの事でした。

今回の管轄先は、飛騨県税事務所および高山
市役所でしたが、この様に県税事務所と市役所では、
申告について見識の違いがある事が分かりました。

ちなみに、均等割りの支払はどちらも不要との
事でした。

休眠中の会社の申告は、大阪府や大阪市は不要ですが、
他府県では不要と決めつけるのではなく、直接、管轄の
県税事務所及び市役所の税務課へ確認をすることが、
重要です。
また、国税に関しては、休眠中でも申告は必要です。

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固定資産税の損金算入時期

特定目的会社は、特定の目的が終了すれば、
残余財産を分配して解散します。

当事務所の顧問先のある特定目的会社様が
今事業年度末までに所有物件を売却し、
解散することを予定しているので、
残余財産の分配金の見積もりを依頼されました。

事業年度は3月末までです。
不動産の売却時期は2020年の2月を予定しています。

不動産の固定資産税はその年の1月1日の所有者が
1年分支払うことになっています。
物件を2月に売却しても、1月の所有者のSPCに
固定資産税の請求書が送られてくるので、
次年度に支払いをしなくてはなりません。

固定資産税の納税通知書は通常4-5月に送られてきます。
3月決算の会社の税務申告は5月末までにすればよいので、
申告期日までに金額がわかるはずです。
2020年3月期決算に固定資産税を損金計上できれば、
利益の中から固定資産税相当額をプールしなくてもよくなり、
分配金を増やすことができます。
(それがなぜかの説明はまたいずれ・・)

そこで、固定資産税を今期中に損金算入できないか調べてみました。

(法人税法基本通達9-5-1)によると
固定資産税は、賦課方式の租税ですので、
損金算入可能時期は、以下の3つからの選択です。
①賦課があった日(原則)
②納期の開始日
③実際に納付した日

この中でいちばん早いのは、①賦課があった日です。
特段の定めがない場合、
法律上「到達主義」により効力が発生するとされていますので、
賦課があった日というのは、
賦課決定通知(納税通知書)が到着した日ということになります。

というわけで 固定資産税を今期中に損金算入することはできません。
分配金額を最大にするには別の方法を考える必要があります。
(その話はまたいずれ・・・)

中小企業倒産防止共済の経理処理方法

JUGEMテーマ:会計・経理・財務

 

中小企業倒産防止共済は、

国が運営する中小企業のための共済制度です。

税制優遇があり、

掛金が全額損金に算入できるため、

(上限800万円)

加入していらっしゃる企業様も多いと思います。

 

倒産防止共済の経理方法には2通りあります。

➀費用処理

②資産計上処理

 

➀では、法人税申告書で調整が不要なので

申告書作成が楽というメリットがあります。

 

②では、保険積立金として固定資産に計上することで

決算書がよくなるというメリットがあります。

 

➀では、費用に計上されますので、

当期純利益が減額しますが、

 

②だと、費用に計上されませんので、

当期純利益は減額されません。

(もちろん、税金の額は➀でも②でも変わりません)

また貸借対照表に保険積立金として

積み立てている金額が見えるので

簿外資産にならず、見栄えもこちらの方が良いでしょう。

 

②のデメリットは、法人税申告書の調整が

必要なことです。

会計上は資産計上されており、

損金処理がされていないため

法人税申告書で減算調整をします。

 

ここで減算調整を忘れた場合には、

修正(更正の請求)は認められませんので、

ご注意下さい。

 

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