賃貸等不動産の時価開示

賃貸等不動産の時価開示の
対象となる企業は、その
作業が本格的になっている
ことでしょう。

そこで、一番関心が高いことは
開示対象となる不動産の
時価をどのように、把握するか
ということでしょう。

単純に言えば、不動産鑑定を
取るか、自社で見積もるかに
なるのですが、監査法人から
すれば、不動産鑑定を取るように
促すケースが多いと思います。

このように、不動産鑑定と
企業会計との結びつきが
深まってきています。

不動産鑑定を依頼する場合
そのコストが膨らむため、企業は
簡易鑑定で出来ないかとも
考えます。
そこでの会計基準の基本的な
考え方は、簡易鑑定ではなく
正式な鑑定を求めています。
但し、一定の条件の下では
簡易鑑定も可能となっています。

正式な不動産鑑定と、簡易鑑定
との取り扱いについては
国土交通省が、対不動産鑑定士に
ガイドラインを公表しているので
参考に、なります。

http://tochi.mlit.go.jp/kantei/20091224zaimushohyo.pdf

一度、ご覧下さい。

不動産鑑定で求める価格について

不動産鑑定では、求める価格に
ついて、いくつか種類があります。

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隣地の不動産鑑定で、隣接地を
所有する者が、購入する場合の
価格は、一般の購入者より
高い価格となります。
その場合の鑑定評価額

特定価格
証券化対象不動産の場合
DCF法による価格によって
決まる鑑定評価額。
通常の鑑定評価では
DCF法による価格だけでなく
積算価格や比準価格による
価格も比較考量して決定する
ことに対する価格です。

この他にも鑑定評価基準で
記載されている通常の価格
(正常価格と言います。)
以外の種類の価格もありますが
ここでは代表的な価格を
列挙しています。

このように、価格に複数の
種類を設けていることが
鑑定評価を難解にしていることと
一般の人から見て分かりにくく
している要因ではないかと
思います。

例えば、隣地の価格は
隣接地の所有者が購入する
場合が最も高い価格を
提示するため、売主は、高い価格の
需要者に売却するであろうから
その高い価格が、通常の価格に
なろうかと思います。

証券化対象不動産も
DCF法による価格で
ファンドやREITが
購入するのであれば、その
価格が通常の価格に
なるのではないかと思います。

限定価格や特定価格
正常価格などと価格に
種類をつけることで
議論をややこしくしている
ような気がしてなりません。

価格の種類を複数設けるのでは
なく、前提条件によって
価格が異なることを説明することが
大切なのではと
思っています。

隣地の評価では、需要者が
隣接地所有者の場合と
一般の者の場合
証券化対象不動産の場合
対象不動産が、証券化される場合と
そうでない場合と分けるなど。

証券化対象となる不動産は
値段が張るものばかりでしょうから
証券化されない場合の価格を
出すことの意味は、低いと
思います。

不動産が投資対象に好まれるわけ

不動産市況が、低迷しているが
いつの時代でも、不動産は
投資対象として、安定的な
人気があります。
その理由は、不動産という名の通り
動かない財産であり、手堅い
投資対象という印象がある。
(実際は、そうではない側面も
 多分にありますが)
株式投資の場合、投資対象の
企業について、トップと話を
できる機会は、乏しいし
組織がどのように機能しているか
外部株主には、わからない
ブラックボックスの部分が多くある。

しかし、不動産投資の場合
投資に当たって、現物を見ることが
できるし、最近までの収益水準を
確認することが出来て
投資対象として、わかりやすいという
側面があり、投資家も安心して
投資できます。

ただ、大きなトレンドとして
日本の人口減少傾向により
不動産価格は長期的には
下落する可能性が高いと
考えられるので、投資するのであれば、
売りたたかれている不動産や
立地条件が優れていて、将来の
人口減少による影響を
受けにくいものを選ぶことが
必要ではないでしょうか。

鑑定評価の報酬計算

会計士や税理士などの専門家の
報酬計算は、作業量に単価を
かけたものとする方法が
一番ポピュラーです。
作業に多くを要すれば
報酬も多くなります。

しかし、鑑定評価の世界では
必ずしもこの方法がポピュラー
ではありません。
鑑定評価額に一定の率をかけて
報酬を決める方法が、今だ
使われているケースがあります。

依頼者からすれば、高い鑑定評価を
出す場合は、報酬も支払い易いので
このようになるものと思います。
また、不動産の仲介の世界と鑑定評価の
世界は、比較的近いため
この計算方法は、受け入れられやすい
こともうなずけます。

私のように、長く会計士をして
きた者から見れば、この計算方法は
違和感がありますが、今後、業務を
進めていけば、なじんでくるので
しょうか?

時価会計への監査法人の対応

賃貸等不動産の時価開示に
対して、監査法人も方針を
固めてきたようです。
大手監査法人は、更地や
駐車場用地等は別として
上物が立っている、賃貸等
不動産は、基本的に鑑定評価を
取るように監査先に、指導
しているようです。

確かに、会計基準では
鑑定評価を義務付けていませんが
鑑定評価に代替するもので
評価した場合、それが
妥当なものであるかどうかは
会計士が判断しなければ
ならず、会計士がその判断
をすることは難しいので
鑑定評価を取るように
指導しているという背景が
あります。

言い換えれば、会計士が
評価に対する責任を
回避するため(リスクヘッジのため)
鑑定評価を取るように指導しています。

ただ、企業としては、経済的
負担が増えることなので
耳障りな話です。
中には、鑑定士を社内に雇った
方が安くつくというところも
出てきています。

細かい話になるかもしれませんが
上場会社が保有する賃貸物件の利回りが、
若干ですが低下することとなります。

不動産鑑定業界は、厳しい

今年から不動産鑑定業を
開始しましたが、この業界の
諸先輩方とお話する機会では、
今の不動産鑑定業界は、
非常に厳しい状態という言葉が
出てきます。

バブル経済崩壊後の失われた
10年と言われる期間は、金融機関の
破綻、事業会社の破綻等により
事業再生に伴う鑑定評価が
多くありました。

また、近年までの不動産投資ファンドの
活況によりファンド関係の
鑑定評価も多くありました。

今では、事業再生も従前ほど、さかんに
行われることもなく、また不動産
投資ファンドも今までのような
新規組成がなければ、鑑定評価の
案件も限られてきます。

となれば、公的評価に依存する
ウエイトが大きくなるのでしょうが
行政機関も厳しい予算の中で
鑑定を依頼するため、こちらも
厳しい状態が続いています。

しばらくは、不動産鑑定業界も
厳しい試練の時期が続き
そうです。

かんぽの宿問題

一時、マスコミでも大きく
取り上げられたかんぽの宿で
あるが、世間の認識と実態は
少し異なるのではないかと
思っています。

世間の認識では、国民の財産である
かんぽの宿を、早く資金化するため
安くても売却しようとしたところ
鳩山大臣が、阻止したというところで
しょうか。

しかし、最近の不動産市況を見ていると
オリックス不動産が、購入しようと
した価格では、今となれば、誰も
買わないのではないかと思います。
つまり、かんぽの宿は、当初の予定
通り、オリックス不動産へ売却した
価格より含み損が発生している
可能性が高いのではないかと
思っています。

つまり、売却が白紙撤回されたことで
一番喜んでいるのは、実は、オリックス
不動産ではないかと思っています。

マスコミの報道では、優良な不動産が
取り上げられますが、中には赤字の
宿もあり、それらも含めた一括
売却額は、それなりに妥当であったのでは
ないでしょうか。

鳩山大臣は、株をあげ、オリックス不動産は
喜んでいて、郵政公社だけが、含み損ある
不動産を抱えたということが、実際の
ところではないでしょうか。

かんぽの宿の不動産鑑定

かんぽの宿の不動産鑑定が
固定資産税評価の7分の1との
報道があります。
通常、固定資産税評価額は
土地の場合、正常な地価とされる
公示価格の70%程度としており
固定資産税の7分の1の評価は
きわめて低いものと想像できます。

なぜこのような低い鑑定評価額が
算出されたかと言えば、
報道によれば、かんぽの宿の
収益をベースとして、鑑定評価額を
算出したとのことです。
もう少し、突っ込んで解説しますと
非効率な経営をしていたであろう
かんぽの宿の収益をベースとして
鑑定評価額を算出したため
一般的な市場価格より
極めて低い鑑定評価額が、算出された
ということと思われます。

本来の鑑定評価の作業に
おいて、収益から評価額を算出する場合
標準的な経営を想定して、その収益から
評価額を算出することとなります。
この標準的な経営とは、どのような
ものかは、実務的には非常に
難しいものですが、1人あたり
人件費を1000万円程度支給していたような
かんぽの宿の場合、適正な人件費レベルに
置き換える必要があったでしょう。

今回の鑑定評価書は、いろいろな
意味で注目されることは間違いありません。
今回の事件で、あまりなじみのない不動産鑑定
という言葉が、みなさんに触れる機会を
得ました。

賃貸等不動産の時価評価

賃貸等不動産の時価評価会計が
導入することが予定されています。
導入時期は、H22年3月31日に修了する
事業年度末の財務諸表からと
なっています。

H22年3月期であれば、その期首は
H21年4月1日ですから
まもなく導入開始ということと
なります。

導入されれば、四半期毎に賃貸等不動産の
時価評価を検討しなければならなくなり
その評価をどのようにするかが
実務的には、問題になることが予想されます。

全ての賃貸等不動産を、四半期毎に
鑑定評価をすることは、合理的ではないでしょう。
では、どのような場合、鑑定を
取るかは、監査法人と会社との間で
相談しておくことになるでしょう。

また、鑑定とは別に、賃貸等不動産を
保有している会社は、自社として
どのように評価するのか
また、どのようになれば
処分等を検討するかなどのルール設定も
必要でしょう。
賃貸等不動産の時価会計導入により、
社内の内部管理体制に
ついても、見直しが必要でしょう。

公認会計士と不動産鑑定士

先月をもって、不動産鑑定の
実務修習に必要な23類型の
演習報告を全て提出しました。
演習を通じて、不動産鑑定業界を
見ることができましたが、
公認会計士と比べて、いくつか
違う点を感じました。

まず、試験の合格者数です。
公認会計士試験の場合、近年は
監査業務の拡大、内部統制等の
周辺業務の拡大や、規制緩和の
流れもあり、合格者数が、大幅に
増えました。
一方、不動産鑑定士試験は、
実務修習制度の改正により
鑑定士事務所に、常勤でなくても
鑑定士になれる道が開かれた
ことととなりましたが
鑑定士の急増を嫌ってか、2次試験の
合格者数は、減少となりました。

この合格者数の推移や傾向から
見ても、業界の意向が伺えます。
鑑定士業界は、合格者を増やして
鑑定士が増えると競争の激化を
敬遠したのではないでしょうか。

このような合格者数の減少のため
新たな受験者数も減少傾向になりました。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%8D%E5%8B%95%E7%94%A3%E9%91%91%E5%AE%9A%E5%A3%AB
受験者が敬遠していることが、伺えます。

鑑定士業界では、不動産ファンドの
新規組成の減少により、業務量も
縮小傾向にあるようです。
新たな業務獲得に懸命になっていますが、
なかなかこれといったものが
見つからないのが、今のところの
現実のようです。