プロジェクトの遅れとSPC連結対象

会社が、匿名組合出資をしている場合
利益の過半を、その会社が受け取る
場合、匿名組合を連結決算の対象とします。

※当該投資事業組合の投資事業から生ずる利益又は損失の概ね過半について享
受又は負担することとなっていること。
(実務対応報告第20 号投資事業組合に対する支配力基準及び影響力基準の
適用に関する実務上の取扱い Q1より抜粋)

匿名組合出資により過半の利益を受け取る
出資者は、そのSPCを事実上支配している
という判定に基づくものです。

そのため、プロジェクト開始当初は
匿名組合出資の割合が低くて
利益の過半を受け取ることではなくても
プロジェクトの遅延などにより
追加出資をすることで、利益の
過半を受け取ることになれば
連結対象になります。

開発型のプロジェクトの場合
何らかの理由で、プロジェクトが
遅れることもあります。

その場合、追加匿名組合出資を
しなければならないケースも
あります。

その結果、当初 連結対象で
なかったプロジェクトが
連結対象になるケースもあります。

開発案件については、このような
リスクがあることは、注意して
おくべきでしょう。

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匿名組合契約での営業者報酬

匿名組合契約書では『営業者報酬』というものが
記載されております。

この営業者報酬とは、どのようなものでしょうか?

契約書では、匿名組合から営業者に支払われる報酬と
記載されています。

この営業者報酬は、SPCから外部に支払われる報酬では
ありません。

あくまで、SPC内部での報酬です。
営業支店から本店に支払われる会社維持のための
本社費用のようなものです。

匿名組合決算ではこの営業者報酬を
支払った後の利益を匿名組合員に分配されます。

匿名組合部門では、損益がゼロになります。

一方で、営業者部門では匿名組合から
受け取った営業者報酬分がプラスになります。

仮に、営業者部分での損益が営業者報酬しかなければ
会社(SPC)全体では、営業者報酬相当が、
プラス(匿名組合の損益がゼロのため)になります。

SPCは営業者報酬相当の課税所得が
発生し、法人税負担が発生します。

通常、匿名組合出資を受けたSPCは、
僅かな(概ね営業者報酬相当)の
課税所得から法人税が発生し納税をします。
営業者報酬というものは概念的なもので、
具体的に第三者に支払われる報酬とは、
性質が異なるところが、特徴かと思います。

第2種金融商品取引業者のモニタリングと会計監査

最近受注した案件で
匿名組合出資の募集を
行う案件がありました。

SPCが匿名組合出資を
募集する時、第2種金融商品
取引業者に、募集行為を
委託することが、金融商品
取引法より求められています。

更に、第2種金融商品取引業者の
自主ルールで、募集後の
SPCでの運用状況を、モニタリング
するという業務もあります。

ただし、このモニタリング業務は
SPCが会計監査を受けている場合
代替することが出来ます。

第2種金融商品取引業者に
支払うモニタリング報酬と
会計監査報酬とを比べて
もし、会計監査の報酬が
合理的であれば、会計監査を
代替することも検討すべきでしょう。

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